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皆さん、こんにちは。
これから会社設立を考えている方は株式会社にするか、合同会社にするか迷っている方も
いらっしゃるかもしれません。信用という点では誰でも知っている株式会社が良いのですが、
設立費用を考慮すると合同会社の方が安価で済みます。概ね株式会社なら24、5万円かかりますが
合同会社なら10万年程度で済みます。最近は設立費用の節約のため合同会社にする方は多いですね。
でも合同会社のメリットはそれだけではありません。実は以下のメリットもあるんです。
<役員の任期がない>
株式会社は役員の任期は最長で10年です。ですので10年に1回は役員の登記をする必要があります。
当期には手間も費用も掛かります。合同会社にはそれが不要です。
<みなし解散がない>
役員の任期と関連するのですが、合同会社にはみなし解散がありません。みなし解散とは登記が
しばらくないと解散したものとみなされる制度です。その際には通知が来て、それに返信すれば
解散を回避できるのですが、誤って返信を忘れたりすると結構面倒なことになってしまいます。
真面目に事業をしているのに気が付かない間に会社が法律上無くなってしまうなんてことが起きえるわけですね。
株式会社の場合は役員の最長任期が10年なので、これに合わせて12年間何の当期もないとみなし解散が適用されます。
一方で合同会社は役員の任期がないのでみなし解散もありません。
これから会社を設立する方は結構先の話なのであまり気にしないかもしれませんが、将来面倒なことにならないとも
限らないので、特に信用は気にしないのであれば合同会社を選択した方が良いですね。
皆さん、こんにちは。
103万円の所得控除が随分と話題になっていますね。これは減税されて国民の負担が減る話ですが、最近は106万円の壁が言われるようになりました。こちらは社会保険料の106万円の壁を撤廃しようという案が厚生労働省内で検討されているとのことで国民負担が増えてしまいます。社会保険料の負担はかなり重たいですよね。経営者の皆さんは頭が痛いと思います。
しかし前から感じていたのですが、社会保険料は高所得者に有利で不公平な制度になっていると思います。今回は、なぜ不公平なのか、具体的な数字を交えて解説します。
所得税の103万円の壁はよく知られていますが、違う意味で社会保険料にも重大な「壁」が存在します。多くのケースで1回の給与について以下の金額以上になると社会保険料はかかりません。
東京都(40歳~64歳)の社会保険料率を例に、その実態を数字で示します:
上記のように月収50万円の人は月収200万円の人の2倍以上の割合で社会保険料を負担していることになりますね。
その一方で、総務省によるとマイナンバーカードの
保有率は75.2%(9月末時点)であり、
国民の約4分の1はマイナンバーカード自体を
取得していないという現状があります。
「12月以降の保険証がどうなるのか」について、
状況別に確認しましょう。
従来の保険証については、記載された有効期限内であれば、
最長で2025年12月1日まで使用可能です。
また、その後も自治体や健康保険組合などから発行される
「資格確認書」により、最長5年間は保険証の代わりとして使用できます。
なお、「資格確認書」については、当面の間は
申請手続きなどを行わなくても交付される予定です。
従来の保険証とマイナ保険証の両方を持っている場合は、
2025年12月1日まではどちらも使用可能です。
それ以降は従来の保険証が使用できなくなるため、
マイナ保険証に一本化されます。
ただし、医療機関や薬局などにカードリーダーがない場合や、
停電などによってマイナ保険証が使用できない場合に備え、
今年9月頃に「資格情報のお知らせ」が保険証の発行元から送付されています。
マイナ保険証を持っているにもかかわらず、
何らかの理由によって使用できない場合には、
「資格情報のお知らせ」によって代用できるため、
破棄せずに必ず保管しておきましょう。
■ 医療機関の受診時に利用できるカード類 ■
□ 健康保険証
12月2日から新規発行停止。発行済みの場合は最長1年間利用できる。
□ マイナ保険証
マイナンバーカードに健康保険証の機能を搭載。本人が利用登録することで使用できる。
□ 資格確認書
マイナ保険証を持っていない人に12月以降、順次送られる。保険証代わりに使える。
有効期限は最長5年。
ただし、従来の保険証も最長1年間は使用できるうえ、
最長5年間は使用可能な「資格確認書」も発行されるため、
変更内容を正しく理解し、自分自身に合った方法を選択しましょう。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。
この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。
この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
経費にできるか否かは頻繁に質問されますが、経営者の皆様も迷うことが多いのではないでしょうか。ここでは大まかな判断基準を書きたいと思います。
まず国税庁のHPに経費について以下の記載があります。
個人事業についての記載ですが法人でも同様に考えて差し支えありません。
事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
要するに、業務に必要な支出は経費にできるということですね。
でも、業務にできる支出って解釈の仕方によっては相当大きくなり、何でもかんでも経費になって
しまいそうです。
例えば、コンタクトレンズやメガネはどうでしょうか。これがないと普通は仕事にならないので、
業務に必要不可欠ですよね。じゃあ経費になるかというとまず難しいでしょう。
食事代や衣服代など日常生活に必要なものも例外はあるものの概ね経費にできないと
考えてよいでしょう。
このように、文言通りに業務に必要か否かで判断してはまずそうですね。
では、どうするか。迷った時は以下の2つを基準に考えてみてください。
①もしその業務が無くても支出していたか?
⇒上記のメガネ等は業務が無くても普通は購入しますよね。
このような場合は経費になりません。
②支出の理由が第3者にも納得してもらえるものか?
⇒例えば、肉体的にハードな業務でマッサージ器を買ったとします。
その業務がなければ体を酷使することもなく、マッサージ器を購入することもなかった、
だから経費になるとの説明は納得してもらえるか、ということですね。
確かに説明する方は嘘をついている訳ではなく本当のことを言っているだけかもしれません。
しかし、マッサージ器は会社員や主婦の方も単なるリラクゼーション目的などで
購入することもあります。そうすると業務がなったとしても購入していたかもしれません。
このようなケースでは、一般的に第3者に納得してもらうのは難しいといえるでしょう。
経費にできるか迷った際には以上2つの基準を拠り所に検討してみてください。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
今年6月、総務省はふるさと納税に関して、
2025年10月からはポイントなどを付与する
ポータルサイト事業者を通じて自治体が
寄附を募ることを禁止する方針を明らかにしました。
今回の制度改正が実施されることで、
ふるさと納税による寄附を通じてポイ活をしている
利用者にとっては少なからず影響が及ぶものと考えられます。
□■━━━制度改正の背景━━━■□
利用者は自治体からの返礼品に加え、ポイント付与による
メリットも享受する「二重取り」が可能となります。
また、ポータルサイトの運営側としては、
ポイントの還元率を高めることで、
数多くの利用者を集められることから、
ポイント付与による競争は年々激化しています。
付与されるポイントが2倍や3倍に増額するような
キャンペーンが行われるケースもあり、
今回の制度改正の背景には、「激化するポイント競争を鎮静化し、
利用者が返礼品を超えるメリットを享受できる
現状を適正化する」という狙いがあると考えられます。
<ふるさと納税の仕組み>
◎直接自治体に寄付する方法
年間の実質負担2,000円で自治体から返礼品を受け取れる
◎ポータルサイト経由で寄付する方法
自治体は手数料をポータルサイトに支払い
寄付者はポータルサイトからのポイント付与に加え、
自治体から実質負担2,000円で返礼品を受け取れる
→ポイントの付与が2025年10月以降禁止に
□■━━━改正の影響━━━■□
2025年10月から、ポータルサイトでの
ポイント付与が禁止されることで、
これまでポイント還元を目当てにふるさと納税を
活用していた利用者には影響が及ぶことでしょう。
またポータルサイトを運営している事業者にとっては
死活問題となると考えられ、今回の制度改正を機に、
ふるさと納税の関連事業から撤退するケースもあるかもしれません。
ちなみに「楽天ふるさと納税」を運営する
楽天グループ株式会社は、今回の制度改正の撤回を求め、
署名活動を行っています。
□■━━━まとめ━━━■□
2025年10月に実施される
ポイント付与禁止に関する制度改正では、
ふるさと納税の利用者だけでなく、
ポータルサイト事業者にとっても大きな影響を及ぼします。
制度改正の内容を正しく理解し、
ふるさと納税を利用するタイミングについても
慎重に検討しましょう。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
今年6月から実施されている「定額減税」ですが、
急ごしらえで作られた制度ということもあり、
制度設計上の問題点を指摘する声が増えています。
特に給与年収100~103万円で働く場合には、
定額減税が重複して受けられるうえ、
返金は不要とされているため、
実質的に「二重取り」が可能な制度となっています。
□■━━━「二重取り」のメカニズム━━━■□
合計4万円が減税される「定額減税」ですが、
パート勤務などで給与年収103万円以下の方
(以下、Aさん)の場合、Aさん自らが被扶養者となり、
配偶者側で定額減税を受けることが可能です。
その一方で、給与年収100万円超の場合には、
Aさんに対して住民税の所得割が課されるため、
Aさん側でも改めて定額減税が実施されます。
なお、Aさん本人の税金からは
定額減税の4万円を引き切れないため、
その差額は自治体から支給(調整給付)されます。
その結果、「配偶者の扶養家族として4万円」+
「Aさん本人で4万円」の合計8万円の定額減税が
実施されることとなります。
<定額減税で「二重取り」となるケースのイメージ>
ü 配偶者の扶養対象
ü パート勤務
◎年収が100万円超えた場合
自身の収入に対し、4万円の減税・給付
◎年収が103万円以下だと
扶養される配偶者として4万円減税
→合計8万円が減税などでもらえる
□■━━━財務相は「返還不要」との認識を明らかに━━━■□
上記のような「二重取り」問題について、鈴木俊一財務相は、
自治体の事務負担を配慮するとやむを得ない、
との考えを示しており、重複して定額減税を受けた場合でも
返還は不要としています。
政府としては、「二重取り」となるケースは
あくまで例外として捉えているとのことですが、
所得税や住民税における、いわゆる「年収の壁」を
意識して働く方は多いため、「二重取り」の件数は
決して少なくないと考えられます。
□■━━━まとめ━━━■□
6月からスタートした定額減税ですが、
給与年収100~103万円以内で働く場合の
「二重取り」が問題視されています。
政府はあくまで例外として返還不要との考えを
明らかにしていますが、扶養内で働く多くの方々にとって
影響の大きな内容といえるでしょう。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
保険に加入するときに当然の話ではありますがやはり保険料は一番気になりますよね。でも保険料や補償内容だけで決めてはダメなんです。他にも考慮すべきことがあるので今回はそのうちの1つをご紹介します。
例えば40歳で20年間の定期保険に入ったとします。契約形態としては60歳までと定める場合と20年間と定める場合の2通りがあります。どちらも補償額、期間に変わりはありませんから保険料は同じです。ではどちらでもよいかというとそうではない。こんな場合を考えてみてください。57歳で重篤な病に罹患したとします。医師からは余命数年と言われました。60歳を過ぎたら保険期間満了になってしまい保険金が受け取れないかもしれません。でも20年間と定めている保険なら自動更新なので大丈夫です。一方、60歳と定めている場合の保険は更新ができずに保険金が受け取れないかもしれません。ここは保険会社により扱いが異なり、無審査で延長できる会社もあります。保険料だけで決めてしまうと後悔することになるかもしれません。
だからこのような場合にはできれば20年のものに入り、60歳までなら延長できる保険を選びましょう。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
先日ある生命保険会社の方から契約者、保険料負担者は会社だが、保険事故発生時に受取人を会社か個人かを選べる保険商品について、受取人を個人とした場合には給与課税されるリスクがあるとのお話を伺いました。ここで気になるのは受取人が役員で保険料が年払いの場合には役員賞与となり損金算入もできないのではないかという点です。確かに役員報酬は月々同額(定期同額給与であることが求められており年払い保険料はある月にまとめて1年分を支払いますから定期同額給与の要件を満たしていないように思われます。
しかし国税庁ホームページの以下URLにある解説からすると上記ケースは定期同額給与となり損金算入が認められるようです。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/070313/10.htm#a-03
少し長いですがこの解説文を引用します。
==========================================
なお、定期同額給与に該当する経済的利益の供与に関連して、例えば、法人が役員にグリーン車の定期券を支給している場合でその定期券が6ヶ月定期であるときや、役員が負担すべき生命保険料を負担している場合でその保険料を年払契約により支払っているときについては、これらの支出が毎月行われるものでないことから、その供与される経済的利益の額は定期同額給与に該当しないのではないかとの疑義を抱く向きもあるようである。
しかしながら、「その供与される利益の額が毎月おおむね一定」かどうかは、法人が負担した費用の支出時期によるのではなく、その役員が現に受ける経済的利益が毎月おおむね一定であるかどうかにより判定することとなる。したがって、上記のように、法人の負担した費用が、その購入形態や支払形態により毎月支出するものでない場合であっても、当該役員が供与を受ける経済的利益が毎月おおむね一定であるときは、定期同額給与に該当する。
==========================================
生命保険料の支払いから得られる経済的利益は支払いの時期にかかわらず毎月一定なので定期同額給与に該当するということですね。仮に税務調査で指摘されても給与課税は仕方がないかもしれませんが役員賞与になることはなさそうです。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
前から問題視されいたようですが、国外中古建物を利用した節税策に縛りがかかりました。従来どのように節税に利用されていたのか説明しましょう。
国外の居住用建物は日本国内のものと比べ使用期間が長いケースがあります。国内だと30年ほどの寿命しかないものが国外だと80年だったります。当然日本の税法では国内の寿命に応じて耐用年数を設定しています。国外の物件について考慮はしていないんですね。さっくり言えばこのギャップを利用して節税するのです。中古なら耐用年数をより短くできるので節税効果も大きいです。給与所得の大きい方が国外建物を購入し、多額の減価償却費を計上することで不動産所得がマイナスになります。このマイナスと給与所得を相殺して節税していました。
しかし所得税の不動産所得については令和3年から上記のようなケースに規制がかかりました。不動産所得の損失額と国外不動産の減価償却費のうち小さいほうの金額が損失とみなさない取扱いとなりました。ただし不動産所得の計算上、国内不動産、国外不動産等、国外中古建物に分けて計算し国外中古建物に損失が生じた場合には他の国外不動産等の所得と相殺することができます。ですので海外不動産で黒字になっていれば節税効果はある訳です。
またこの規制の対象となるのは耐用年数をいわゆる簡便法等により算定しているものです。ですので抜け道の1つとしては現地の業者等に依頼して合理的な愛用年数を査定してもらってそれを使用することが考えられます。合理的と言っても幅がありますから短めに見積もるように依頼するなどある程度融通が利くと思われます。
あとは法人ではまだ規制されていませんので法人に移転するというのも1つですね。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
印紙税とは、課税文書に対してかかる税金のことをいいます。課税文書とは、基本的に経済取引に関わる文書のことで、印紙税法では不動産等の譲渡契約書、請負契約書、約束手形、為替手形、株券、定款、継続的取引の基本契約書、預貯金証書、金銭又は有価証券の受取書のような文書が課税文書に該当すると定められています。
さて、この印紙税の納税は基本的には切手と同じように役所や郵便局、コンビニ等で購入し契約書等の課税文書に添付することによるケースが多いでしょう。この場合の損金算入時期は切手と同じです。すなわち使用した期に損金算入します。
印紙税は上記の他にもまとめて納付する方法があります。ここではそのうちの1つである書式表示による方法について考えてみましょう。
書式表示による方法とは複数の課税文書に同一の書式を表示することで、金銭で印紙税を納付できるようにする方法となります。課税文書に同一の書式を表示した上で、1ヶ月間での文書の作成数を翌月末日までにまとめて申告し、それをもとに印紙税額を金銭で納付します。この方式は小売店などで毎月大量の領主書を発行する合などによく使われます。単純に考えると使用した期の損金になりそうですが、この場合はそうではなく申告した期の損金になります。
法人税基本通達9-5-1では租税の損金算入時期を以下の4つに分類して詳細に定められています。
・申告納税方式
・賦課課税方式
・特別徴収方式による租税
・利子税等
当然印紙税の書式表示方式は上記の申告納税方式に該当しますよね。
申告納税方式の租税は同通達の1項で「申告書を提出した期の損金とする」旨が定められているため上記の結論になります。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
今日は最近の税務通信に気になる記事が載っていたのでご紹介しましょう。前回に引き続いて倒産防止共済に関する税務のお話です。
今月2月決算の会社は倒産防止共済掛け金の引き落としが3月1日となります。なぜなら倒産防止共済は毎月27日に引き落とされますが、今月の27日は土曜日なので翌週の月曜日である3月1日に引き落とされることになるからです。
決算月に同共済の掛け金を1年分前納するという会社も多いと思いますが、今月決算の会社は引き落としが3月となってしまうため令和3年2月期の損金にできなくなってしまいますね。
このような特殊な事情に対応するため共済の運営機関である中小企業基盤整備機構は事前に案内を行っていたようです。にも関わらず殆どの企業が対応していないようで税務メリットが享受できないとの声が多いそうです。
それはそれで仕方がないと思うのですが、何と税務当局が掛金の引落し日が3月1日になったとしても,未払計上することで「令和3年2月期」における損金算入を認める方向で検討しているのだそうです。
結論はまだ出ていないようですが、記事になるぐらいですからきっと認められるのでしょうね。2月決算の法人は未払計上を忘れないように注意してください。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
中小企業の節税でまず思い浮かぶのがこれですよね。弊事務所のお客様も加入されている方が非常に多いです。この経営セーフティー共済はおそらく私の感覚では掛け金支払い時に以下のように経費処理することが多いように思います。
① 保険料 ×× /預金 ××
上記のように処理した場合は法人税申告書上の調整は当然不要です。しかし、会計上は以下のように処理して法人税申告書上で減算できることをご存じでしょうか。
②保険積立金(資産) /預金 ××
何となく損金経理が必要であるとの思い込みから①のように処理してしましそうですね。租税特別措置法の66条の11に「その支出した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する」と書かれており、損金経理要件は必要とされていません。但し、損金とするには別表10(6)と適用税額明細への記載が必要になりますので気を付けましょう。
経営セーフティー共済の掛け金は原則的に全額戻ってきますから②のように資産計上するのが会計上は理にかなっています。②の方が利益が大きくなり財務状況も良くなりますから融資等の際にも有利に働くことが考えられます。
これから経営セーフティー共済を始めようとする方は参考にしてください。
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同族会社では社長の配偶者、親などの親族を非常勤役員として役員報酬を支給しているケースは非常に多いと思われます。ここで勤務実態にもよりますがいくらまでなら損金として認められるかは税務調査の際に論点になりやすところです。
法人税法の規定によれば
・職務の内容
・法人の収益
・使用人に対する給与支給状況
・同業他社の役員報酬の支給状況
等により当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合はその超える金額は過大役員報酬として損金算入できないこととなります(法人税法34条2項、法人税法施行令70条1項)。
具体的な金額等は示されていないので非常に迷うところですが、平成17年12月19日の国税不服審判所の採決事例によれば非常勤役員の年間報酬の平均額は131万円とのことです。これを参考とすれば月額11万円程であれば許容範囲であると考えることができます。
おそらく実質的には名ばかり役員に近いケースにおいても上記の範囲内なら問題にはなりにくいのではないでしょうか。
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会社を設立する際には、もしこだわりがないのであれば設立日を1日にするのはやめましょう。なぜなら1日以外であれば地方税の均等割が1か月分少なく済むからです。
例えば4月1日に3月決算の会社を横浜市に会社を設立したとしましょう。すると地方税の均等割が神奈川県20,000円、横浜市54,500円で計74,500円かかります(資本金が1000万円以下かつ従業者数50人以下の法人)。しかし設立日を4月2日にすれば神奈川県18,300円、横浜市49,900円、計68,200円となり6,300円節税できます。
均等割とは所得に関わらず課税される税金で月数によって金額が変わります。その月数をカウントする際に1か月に満たない場合は切り捨てられます。1日でも足りなければ切り捨てられるので1日に設立せずに2日にすれば1か月分カットできる訳ですね。
せこい話かもしれませんが、飲み代位は浮きますので覚えておいても損はないかと思います。
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一括償却資産とは、取得価額が20万円未満の固定資産を言います。通常10万円未満のものは一括で損金としますので実質的には10万円以上20万円未満の固定資産が一括償却資産として取り扱われることになります。
さてこの一括償却資産は通常の償却資産と以下の点で異なります。
①3年間で均等額を償却する。つまり期中で取得しても取得原価の1/3を償却額とできる。
②償却資産税の対象にならない。
③途中で売却等により無くなっても償却は継続する。
今回は上記③について解説します。
例えば前期に15万円のパソコンを購入し、一括償却資産として5万円を償却したとします。当期にこのパソコンが不要となったので12万円で売却した場合は以下のように処理します。売却時の簿価は10万円(15万円ー5万円)です。
(売却時)
現預金 12万円 / 売却益 12万円
(決算時)
減価償却費 5万円 / 工具器具備品 5万円
売却時は簿価10万円を取り崩さずに売却対価の全額を売却益とします。また決算時には資産は存在しませんが前期と同様に減価償却費5万円を計上します。一旦、一括償却資産としての取扱いをしたら除却や売却によって資産が消滅してもそれはなかったものとして償却を継続する必要があります。
間違えやすいところなのでご注意ください。
関連法規等:法人税基本通達7-1-13
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殆どの中小企業には馴染みにないグループ法人税ですが、中小企業でも注意が必要なことが1点あります。それは1人の社長さんが複数社を所有しており、その会社間で固定資産等を売買するケースです。
例えばある社長さん(Cさん)がA社とB社の株式を100%所有していたとしましょう。A社は多額の含み損を抱えた土地を保有しています(土地の簿価は2000万円)。一見この土地をB社に時価で売却すれば含み損を実現して節税することができそうですね。
しかし、このケースの場合にはグループ法人税制が適用されてA社で計上された売却損は損金にすることができません。A社がB社の株式を直接保有している場合はわかりやすいのですが、個人株主が両社を所有している場合も適用対象になってしまいます。
またB社の株式をCさんの奥さんが100%所有しているような場合も同様にグループ法人税制が適用されます。奥さんだけでなく6親等内の親族、3親等内の姻族、Cさんの使用人等も適用されてしまいます。この範囲は同族会社に規定される同族会社の範囲と同様です。
直観的にもこのような取引は問題ありそうな感じはしますが、直観通りにそれを規制する税制が整備されている訳ですね。
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例えば電化製品の小売店などでは新型のパソコンが販売されたので既存モデルのパソコンが従来の値段では販売できなくなることが良くあるとも思います。こういう場合は値下げ販売して売り切ろうとするわけですが、決算日に売り切れずに残っていたら、これらの商品は評価損で経費にすることが可能です。
法人税法施行令68条第1項第1号ロには棚卸資産が著しく陳腐化した場合は評価損が計上できる旨が定められています。では著しく陳腐化したとはどのようなケースを言うのか、法人税基本通達9‐1‐4を見てみましょう。以下そのまま引用します。
令第68条第1項第1号ロ《評価損の計上ができる著しい陳腐化》に規定する「当該資産が著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態にあることをいうのであるから、例えば商品について次のような事実が生じた場合がこれに該当する。
(1)いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。
(2)当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。
上記(2)で「型式、性能、品質等が著しく異なる新製品」が発売され従来通りの価格で販売できない場合は著しい陳腐化に該当し、評価損の対象になるということが分かります。ここで「著しく異なる」とはどの程度なのかが難しいところですが、いわゆる見切り販売をしなければならない場合はこれに該当するものと思われます。
在庫は何らかの形で処分しなければ経費にできないとの認識をお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回のように価値の減少を反映することができる場合もありますのでご注意ください。
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最近は新型コロナの感染者が増えてきてまた心配な状況になってきました。多くの企業で在宅勤務が採用され、出張等の遠出をする機会も減ってきているかもしれません。
とはいえ状況に関わらずあなたの会社が出張する機会があれば必ず出張旅費規程を作成して日当などを経費にできるようにしておきましょう。日当をりようすれば以下の点でかなり有利に節税することが可能です。
日当の趣旨は一言でいえば実費弁償です。出張先で外食すれば食事代が余計にかかります。移動にも時間がかかりますから普段よりも実質的な拘束時間が増えるといえます。このような負担を会社が金銭で肩代わりしてあげようというのがその目的となります。従って負担に見合った金額を設定する必要があるのですが、この金額が一概には言えず難しいところですね。役職や移動距離によってもかわりますが、社長であれば宿泊を伴う日当で1日当たり5,000円、宿泊費15,000円位であればまず否認されないのではないでしょうか。宿泊費は実費ではなく規定に定めた金額でOKです。
日当5万円でも否認されなかったという話も聞いたことがありますが、さすがにそこまで多額だと怖いですね。
繰り返しになりますが、非常に有利な方法ですのでまだの方は是非検討してみてください。
※本記事は内容を分かりやすくするため、敢えて詳細な要件などは省略していることもございます。この記事の情報を利用される場合は必ず顧問税理士等の専門家にご相談ください。この情報を利用して生じたいかなる損害についても、当社は賠償責任を負いません。
これはお客様からも良く聞かれます。スーツは殆ど仕事でしか着ないという方も多いでしょう。私もそうです。であれば経費にできてもよさそうなものですが、実際はなかなか厳しいです。経費にできることはできますが、給与となってしまうことが多いです。
国税庁の質疑応答事例にある「背広の支給による経済的利益」からポイントとなる記載は次のようなものです。
以上から社長のスーツを経費にするには以下のような措置が必要になると考えられます。
結構厳しいですね。とてもここまでやれないよ、という方が多いのではないでしょうか。
ただ社長1人のみの会社であれば3番目の要件を満たせば経費にできる(かつ給与にならない)可能性はあると思います。
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相続税対策でポピュラーな手法として土地に賃貸アパート等を建てて土地の評価額を下げるというのがあります。賃貸アパート等を建てれば更地の場合の役80%程で評価することができるんですね。但し、相続発生時に空室があるとその空室に対応する土地は100%で評価しなければなりませんアパート経営をしていて常に満室にするのはかなり大変で多かれ少なかれ空室が発生してしまうものです。たまたま相続時に空室が多いと不利になってしまいますが、それって納得がいきませんよね?課税当局もその辺りのことを勘案して相続時に一時的に空室であっても賃貸不動産として評価減できるように取り扱う旨の文章が国税庁のホームページに公開されています。具体的には以下の文章です。
4つ目の文章に「1カ月程度」とあるので1カ月あるいは長くても数カ月空室であると認められないようにとられがちですが、実際はもっと長い期間空室であっても認められた事例もあります。国税不服審判所の採決で9カ月空き室であったにも関わらず認められた事例もあります。この事例は相続時も入居者の募集をしており、近隣に賃貸物件が多数存在して空室が生じやすい状況にあった事等が総合的に勘案され納税者に軍配が上がったようです。
数カ月空室が生じたからといってもあきらめる必要はないことは覚えておくとよいと思います。
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以前と比べると最近は少なくなってきているかもしれませんが、福利厚生のために地方に保養所を設置している企業も相当数あるかと思います。保養所のみで事業所が存在しない都道府県、市町村においても均等割のみ納税義務が生じます(地方税法24条)。それでは独身寮の場合はどうでしょうか?独身寮も保養所と同様にそれだけでは収益を生み出すわけではなく事業性はありません。しかし独身寮は保養所とことなり均等割の納税義務は生じません。独身寮と保養所はどこが違うのでしょうか?換言すれば均等割がかかるか否かはどこで判断するのでしょうか?
総務省が発布している「地方税法の施行に関する取扱いについて(道府県税関係)」によれば「従業員の宿泊、慰安、娯楽等の便宜等を図るため」に常時設けられている施設には均等割りがかるが、一方で独身寮、社員住宅等のように特定の「従業員の居住のため」の施設にはかからない旨が記載されています。同じ寝泊まりできる施設であっても居住のためであれば均等割りはかからないということですね。
なかなか微妙な相違で間違えやすいところではないかと思いますのでお気を付けください。
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以前お客様から以下のようなご質問をいただきました。
2週間ほどの外部研修を受けるのですが、研修開始は当期中、研修終了は次期になります。研修費用は受講前に全額支払い済みです。このような場合、当期の費用にできるのでしょうか?
一般的に研修はそのカリキュラム全体が完了して初めてその研修に期待された目的あるいは成果が達成するものと考えられます。つまり研修期間が終了するまでは委託に係る業務を完了したことにはならず、債務も確定しなていないことになります。従って、上記のようなケースでは期末時点で債務が確定していないため当期の費用とはできないことになります。費用とできるか否かのポイントは債務が確定しているのか否かで決まることが多いですね。似たような論点もよくでてきますので頭の片隅に入れておくとよいと思います。
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厚生年金保険料、健康保険料、労働保険料などの社会保険料は税金と同じで所定の期限までに納付しない場合は延滞金が課されます。この延滞金は税金を滞納した場合にかかる延滞税と同様に損金算入できないと勘違いされるカースが多いです。社会保険料は税金と異なり従業員が享受する利益(社会的セーフティネットの機能)のための支出であると考えられます。このような性格の社会保険料に係る延滞金を制裁金と位置付けて損金算入できないのは酷であるとの考えに基づいて付帯税等を課す法人税法55条3項の規定からは除外され、損金算入することができます。うっかり勘違いしやすいところなのでお気を付けください。
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最近コロナの感染者数が増えてきて、また少し心配な状況になってきましたね。これから冬場になってインフルエンザとのダブルパンチが懸念されていますが、何とか日常を維持していきたいものです。さてコロナで急速に進んだのが在宅勤務です。多くの会社で在宅勤務が採用され、大企業等では殆ど出社しないというケースもあるようです。私の知人も4月から1回も会社に行っていないという方もいらっしゃいます。
さて在宅勤務を採用するにあたり、オフィスと同様の環境で業務が行えるよう従業員の方に備品等を支給するケースも多いのではないでしょうか。例えばPC、プリンター、机、いす、WEB会議用のカメラなどが挙げられます。ここで気を付けなければいけないのは現物給与課税です。先ほど挙げた支給品は現行の税務ではおそらく現物給与課税とされてしまうでしょう。そこでこれを避けるため支給ではなく貸与とすることが考えられます。貸与であれば現物給与とされることはありませんが、実際には支給なのか貸与なのか判別がつきにくいと思われ、税務調査で指摘されてしまうことも懸念されます。貸与台帳を作るなどして会社側で管理していることを主張できるようにしておく必要がありそうです。
個人的に在宅勤務は長期的にみれば生産性も落ちるでしょうし、コミュニケーションも希薄になってデメリットの方が大きいと思います。しかしこの流れは止まらないでしょうから、しっかりと対策をしておく必要がありそうです。
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今回も先々週取り上げた前払費用について解説します。
例えば3月決算の会社が3月25日に5月1日から翌年4月30日までの家賃を前払したとしましょう。このようなケースでは税務上の短期前払費用には該当せず、支出した期の損金にはできません。短期前払費用の根拠となる法人税基本通達2‐2‐14には「その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの」が損金算入できる旨定められています。4月30日までの家賃ですので支払日から1年を超えているために同通達の取り扱いは適用されないのですね。
では上記のケースで5月1日から翌年4月30日ではなく4月1日から3月31日の場合も短期前払費用には該当しないのでしょうか?厳密に解釈するのであれば1年以内ではありませんから該当しないことになりそうですね。ここで国税庁の質疑応答事例にある「短期前払費用の取扱いについて」を見てみましょう。以下のような場合は短期前払費用としてもよいこととされています。
事例2:期間20年の土地賃借に係る賃料について、毎年、地代年額(4月から翌年3月)241,620円を3月末に前払により支払う。
まぁ微妙な表現ではありますが、この例では「3月末日」ではなく「3月末」と書かれていますのである程度の遅れは許容されそうです。私が調べた限りでは国税庁等のオフィシャルな正式見解は見当たりませんでした。しかし規定の趣旨や実際の実務を考慮すると数日間のズレは認められるのではないでしょうか。
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中小企業では会社から役員に資金を貸し付けるケースがよくあります。役員報酬を低く設定しすぎて生活資金を会社から引き出すようなケースは多いと思います。このような場合に利息はどうすべきでしょうか?
考え方としては会社が金融機関から借入している場合としていない場合の2通りに分かれます。
まず借入がある場合は所得税基本通達36‐28(2)に記載されているように借入金の平均調達金利で利率を決めます。この趣旨は役員貸付のための資金は借入金により賄われているのだから、このコストは当然に経済的利益を受ける役員に負担してもらおうということですね。
次に無借金の場合です。1つの方法としては余剰資金を貸付けたのだからそれを運用したとすれば得られた利益を基に利率を求めるというやり方があります。しかし、このように求めた利息は役員が得られた経済的利益ではなく機会損失ですので前述した考え方と相容れず、妥当とは言えません。
無借金の場合には会社が借入すると仮定した場合の利率によるのが望ましいのではないかと思います。お付き合いのある金融機関で問い合わせてみるのがよいのではないでしょうか。
おそらく実務的には昨今の金利情勢から1%程度で設定しておけば無難ではないかと思います。あまり意識せずに無利息としてしまうと役員賞与と見做される恐れがあるので気を付けましょう。
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今回も前回に続いて短期前払費用のお話です。
さて中小企業でもマンションやアポートを会社で借り上げて社宅として社員に提供しているケースは結構多いと思います。弊事務所のお客様でも何社かいらっしゃいます。この社宅の家賃を期末間際に1年分前払した場合は全額支払った期の損金になるでしょうか。短期前払費用を規定している法人税基本通達2‐2‐14の関連個所を見てみましょう。同通達の(注)には以下ののように書かれています。
(法人税基本通達2‐2‐14)
例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。
家賃は短期前払費用の最も典型と思われる支出であり、社宅であっても一見問題ないように思えます。ところが上記の通達2‐2‐14の解釈から社宅の場合は短期前払費用としては認められません。なぜかというと同通達に「収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする」とあり、社宅はこれに該当してしまうためです。社宅は従業員向けとはいえ家賃収入という収益を獲得します。家賃収入は支払家賃と対応させる必要がり、従って税法上の短期前払費用としての取り扱いは不可となります。
これも前回同様うっかり支払時の損金にしてしまいそうな取引ですね。いつもと違う取引の場合には逐一調べるようにしたいものです。
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税法に短期前払費用というのがあります。例えば家賃を1年分前払した場合は本来はその期の分のみ経費にして残りは前払費用として資産に計上する必要があります。しかし、実務的には手間がかかるため金額的に大したことがなければ全額支払った期の損金にしていいですよ、というのが短期前払費用です。この短期前払費用は意外に細かい論点があり注意しないと否認されることがあります。今回はそのうちの1つとして書籍等の年間購読料を一括払いしたケースを考えてみましょう。
結論から言えばこれは短期前払費用には該当せずきっちりと期間按分する必要があります。短期前払費用を規定している法人税基本通達2‐2‐14には以下のように前払費用を定義しています。
一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。
ここでキーになるのは「役務の提供」です。書籍や雑誌の購入は役務ではなく物品ですね。ですので上記の前払費用の定義には当てはまらないわけです。短期前払費用はしばしば迷うことがあり、誤るケースも多いです。また次回以降この論点についてお話ししたいと思います。
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恥ずかしながら、最近まで知りませんでした。クレジットカード手数料が非課税になるケースがあることを。
まずVISAやJCBなどのカード会社と直接契約している場合は非課税となります。なぜ非課税かというと、カード会社に金銭債権を譲渡しているとみなされるからです。金銭債権を譲渡し、手数料を差し引かれて入金されますが、この手数料は金利に近い性格であるため非課税とされます。手形の割引と同じようなものですね。
一方、カード決済代行会社を通している場合は課税、非課税両方あり得ます。「決済代行会社」をはさむ場合は、お店が、金銭債権を譲渡する契約の主体となっているか否かで判断が分かれます。何とも難しいですね。契約の主体ってどういうことでしょうか。実務的には請求書で判断するか決済代行会社に直接聞いてしまうのが手っ取り早いです。この辺りの判断についてはまた機会があれば書きますね。
今日も読んでいただきありがとうございました。
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